並木通りの南東側に、これと平行するように走る通りがあり、
同じ通りの南側が「銀座通り」、北側が「伝馬町通り」と呼ばれる。
一見特に個性のない通りのように見えるが、じっくり辿ると
昭和の雰囲気濃厚な店や、面白い路地への入口が多く見つかる。
中央通りとの交差点近く、いちばん低くなっているところは
かつて川だったところで、この川筋の上流側は、
プールや公園になっている。のんきな作りの街なのだ。
飯田線桜町駅方向に向って、ゆるやかに上る「伝馬町通り」。
その右手(南東側)に、馬場町、仲之町、江戸町という、いかにも
時代を感じさせる町名が並ぶ。この辺りは、大火の被災を免れ、
かなり旧い建物が残っているのだ。
武家屋敷の土塀や門、昭和の洋館といった建物があるが、
いかにも飯田らしいのが、「教育会館」。木造校舎とハイカラな洋館を
掛け合わせたような、不思議な魅力を持つ建物だ。
江戸町から、「風越公園」にかけて、伝馬町通りから
少し東側に入ったあたりも、なかなか良い風情なのだ。
枝垂れ桜で有名な「専照寺」のほか、
可愛らしいカトリック教会があったりする。
風越(ふうえつ)公園は、かつての風越高校の敷地あと。
飯田の土の色である、薄茶色の広がる空間だ。
菱田春草の日本画を思わせる色調でもある。
伝馬町通りを桜町駅に向って上ってゆくと、踏切の少し手前に
T字の交差点がある。その角にある、お団子屋さんが「吉丸屋」。
私は大好きなのだ。特にみたらし団子が好物。団子だけじゃ
なくて、このお店の佇まいや客あしらいの親切さが沁みるのだ。
飯田市民にもファンは多い。ていねいに紙紐で包んでくれるあたりが
まさに昭和の雰囲気。時間帯で店頭に並ぶ団子が違うのが面白いね。
みたらし団子を狙うなら、午後の方が良いみたいであるぞ。
飯田駅よりひとつ辰野寄りにある、飯田線の駅。
無人駅だが、木造の駅舎やホーム屋根など非常に味わい深い。
あまりに雰囲気がいいので、私はここから輪行したこともある。
吉丸屋さんで、お団子を買ったら、自販機でお茶を買い、
桜町駅前あたりの鉄道営業のじゃまにならないところで食べるのが、
いつものパターン。もちろん、ゴミはちゃんと持って帰ろうね。
桜町駅のあたりから、今度は線路と平行に飯田駅方面に進むと
(踏切箇所での道路横断は危険なので避けよう)、
ほどなくまた、並木通りに出る。この付近では緑地帯に
桜がたくさん植えられており、「桜並木通り」とも呼ばれている。
飯田の桜の開花は、信州では早い方だが、やはり四月に入ってからだ。
中旬あたりに満開になることもある。五月の連休の頃は、
りんご並木で花が咲く。白い清楚な花が素敵だ。
桜並木通りを少し下ると、最近なかなか珍しいロータリーに
遭遇する。昔は防火用水が中央にあったけれど、今は丸い緑地帯。
十字に交差した道路に、斜め一本が加わり、五本の道路が集まっている。
ここの車の運転を見ていると、飯田の人の気質がよくわかる。
ロータリー付近には、「トップ」という人気の洋菓子屋さんもある。
桜並木通りとロータリーでほぼ直角に交差し、線路と平行におおむね
飯田駅の方に向かう広い通りが、次の市役所周辺に向うルートだ。